自己負担の多い世帯にとって一見、有難い制度に見えますが
・・・実はもらえそうでもらえないというケースに
なるかもしれませんよ。
さて・・・
前ページでも書いたように高額医療・高額介護合算療養費制度は医療保険と介護保険の両方を負担している世帯の自己負担を軽くするために設けられた制度で、とてもいい制度のように思えますが、思わぬところに落とし穴があります。
同一の医療保険に加入しているのことが絶対条件
前ページではわざとサラッとこのことを書きましたが、実はこれ!飛んでもなく重要なことです!
同一の医療保険に加入していることが世帯内での合算の条件ということは
医療保険の種類が異なっている場合は、生計を同じにしている同世帯の家族であっても合算はできないということです。
ただ、こういう風に書いても多分ピンとこないと思うので、具体的な例を下に書いてみました。
例えば、ご主人が75歳、奥さんが72歳の年金収入のみのお宅があったとします。
ご主人の年金が180万、奥さんの年金90万で住民税非課税世帯だったと仮定します。
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ご主人はこの年、体調を崩し、2ヶ月入院しましたので、医療費が多くかかりましたが、高額医療費のおかげで2ヶ月とも月24,600円の自己負担ですみました。
残りの月は外来診療で月約1万円支払いましたが、こちらも高額医療費のおかげで8,000円を超えた分は払い戻しを受けました。ご主人は要介護度2で月平均1万円を自己負担しています。(介護保険は入院中は使えませんので10ヶ月分のみ)
奥さんは入院はありませんでしたが、外来診療で平均月1万円を支払いましたが
高額医療費のおかげで8,000円を超えた分は払い戻しされ、年間では96,000円の自己負担だけですみました。
奥さんは数年前に脳梗塞で倒れた後遺症の為、歩行が困難で要介護度は4。
現在、介護保険の自己負担は月平均2万円です。
この2人の1年間の自己負担した医療費と介護費をまとめてみると・・・
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75歳
●1年間の医療費
24,600× 2ヶ月=49,200
8,000×10ヶ月=80,000 計129,200円
●1年間の介護費
10,000×10ヶ月=100,000 計100,000円
■合計 229,200円 |
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72歳
●1年間の医療費
8,000×12ヶ月=96,000 計96,000円
●1年間の介護費
20,000×12ヶ月=240,000 計240,000円
■合計 336,000円 |
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こうなります。
ご夫婦ともに低所得者Uになりますから、自己負担限度額は31万円になります。
ご主人の合計は229,200円なので、残念ながら払い戻しに該当しません。
奥さんの合計は336,000円なので、31万を超えた26,0000円が払い戻しになります。
実は・・・ この2人の場合、払い戻しされる金額は奥さん分の26,0000円だけなんです!
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うそつきーーーーー!
同世帯の家族の分は
合算できるって言ったじゃん!!
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そうですよね。(^^ゞ
世帯で合算できるのが、この制度の良さ。
でも、最初に書いた
合算の条件をもう一度思い出してください。
ご主人は75歳なので
後期高齢者医療制度
奥さんは72歳なので
国民健康保険
同一の医療保険への加入が条件なので、上のご夫婦の場合は医療保険の種類が異なるという理由で合算はできないのです。
個人での合算はできますが、1人分の合算ではほとんど払い戻しがないように、うまく金額設定ができてます。
(ご主人の場合は払い戻しがないのがいい例ですね。)
この制度、個人だったらあまり恩恵を受けられそうにありません。(^^;;
なぜなら、最も医療費を払うのは入院した時で月24,600円×12ヶ月=295,200円
これに介護保険の自己負担を足して・・と思いがちですが、
入院しているということはその間、介護保険は使えませんから、加算する自己負担がないんです。(^^;; うまくできてますね〜
となると限度額の31万円以下ですから、払い戻しはなしということになります。
個人で最も恩恵を受けるケースは介護費用24,600円×12ヶ月=295,200円を払った上に外来診療で高額医療費を受けた場合。
外来診療が8,000円×12ヶ月=96,000円なので合計391,200円。81,200円が払い戻されます。
まあ、8万円でもうれしいことではありますが・・・
やはり、家族で合算して払い戻しされなければ、この制度の魅力は発揮できないことになりそうです。
これがもし、奥さんも75歳以上、もしくはご主人が74歳以下だったとしたら・・・
比べると・・・ものすごい格差ですよね。(-_-;)
元々、後期高齢者医療制度は70歳以上の老人医療保険を政治家の方が勝手に75歳で区切って分けたもの。
もし後期高齢者医療制度なければ、75歳のご主人と72歳の奥さんは26万近くの自己負担分を払い戻ししてもらえたのです。 何か・・・どこかがおかしいです。これって。
別に収入額が変ったわけでもなく
子どもの扶養に入ったというわけでもなく
引越しをして住所が変ったわけでもなく
ただ、年を1歳取って75歳になっただけで26万円がパーですからね。(-o-; ため息もでません。
でも、現状では医療保険が分けられているのは事実なので、どうしようもありません。
政府広報のサイトでも夫婦合算された例が堂々と紹介されていますが、ちゃっかり夫婦ともに75歳以上として紹介しています。
年齢に差があった時にどうなるか?なんて一切書かれていません。
市役所の職員の人は・・・
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同居されている子供さんの健康保険に扶養で入ってる方は
ご夫婦の年齢に差があっても、同一の保険になりますから
合算の対象になりますよ。
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大笑いです。ヾ(T∇T)ノ彡☆ギャハハ!!バンバン!!
いったい年金収入がいくらだったら健康保険の扶養に入れるというんでしょう??
母親だったら専業主婦で国民年金だけということもありえますが、父親の多くは厚生年金をもらっていることが多いはずです。厚生年金の父親をどうやって扶養に入れられるんでしょうね〜
まったく・・・絵に描いた餅、机上の空論とはこのことですね。
もし・・・
両親共に74歳以下でどちらかが介護保険を使っていたと仮定します。
上の例のご夫婦くらいの自己負担があった時、約26万の払い戻しを受けることができるのですが
お父さんとお母さんの年齢差があったら、どちらかが長寿医療制度になった段階で突然、翌年から26万円が戻ってこなくなるんですよね。(-_-;)
今まで1年で26万円戻ってきたものが、ただ年齢が75歳になったというだけで戻ってこなくなる。
めちゃくちゃ、ショックだろうな〜と思うのは私だけじゃないはずです。
この先、長寿医療制度がどうなるかはわかりませんが・・・
(廃止されて1本化されればいいのに。)