■ システム再編のお知らせ 2001年6月21日

 
初めて山梨の犬たちに出会った10月初旬から、気付いたら早くも8ヶ月が過ぎ ていました。あっという間の8ヶ月でしたが、その間にはたくさんのことが起き ました。ウェブサイトのオープン、支援募集の決断、次々に決まって一時預かり 先へ出て行く子たち、なかなか決まらない子たち、犬舎の引越し、ウェブ上での 里親さんへのフォロー・・・。数え上げればもっともっとたくさんのことが日々 発生し、スタッフ全員、総力をあげて頑張ってきました。全ては駆け足で過ぎて いったことでした。

このプロジェクトは、全国に点在するスタッフをインターネット上のメーリング リストと、掲示板によるバーチャルオフィスで繋いでいます。全てのことはイン ターネット上のやり取りで行われます。当初の混乱期を過ぎ、プロジェクトの 運営あたっては、スタッフによる提案と評議で全ては決議される形になっていま した。今まで会ったことのない仲間への信頼だけが、毎日の作業を進める頼りで した。
ですが、ネット上だけのやり取りには限界があります。伝え切れてないことや、 聞きそびれてしまったこと、気を遣って聞けなかったことなどが、薄い澱のよう に重なりました。特に顔をあわせることが難しい状況にあるスタッフの中で、そ うしたことが原因となった不安が大きくなっていたことは否めません。

犬たちが次々と出て行っている最中の戦争のような毎日だった時期は、誰一人と して全体像が見えているスタッフがいなかったかもしれません。それでも現場を 見ることが物理的にできないスタッフにとって、現場のスタッフの流す状況報告 だけが全てでした。現場からの報告が少なければ、想像に頼るしかないのでした。 それは現場を見ることのままならないスタッフにとって、活動をより難しいもの にしていた部分であると考えられます。
また、当初予定していた期間を大幅に過ぎても、プロジェクトの終結が見えてこ ない現実がありました。これは、仕事の合間を縫って作業を行っているスタッフ や、仕事を一時中断し、フルタイムで当たるスタッフにとって予想以上に打撃で した。
それでも、そこに犬たちがいることや、その犬たちを守ろうとしている仲間がい ることは、紛れも無い現実です。
そんな中、犬舎症候群や情緒不安定等の症状を示していた犬たちが、一時預かり 先で見違えるように回復、改善されていく様子が日記によって表されることは、 ややもすると下がりそうになるスタッフの士気を高めました。
しかし、半年を過ぎた頃から、当初のスタッフの疲弊は著しい状態でした。精神 的にも物理的にも限界に近い状態で、活動が停滞していました。
それにあたり、今までの駆け足運営法では無理があるのではという意見が出まし た。責任の所在が不明瞭な状態で、一人一人がその場その場で対応できることに は限界がありました。責任を持たず口だけ出す状態では、決議に対する遠慮が 出るなど現実的な運営にズレが生じてきます。その結果、スタッフ有志によって 責任を分担する方式を採用する方向で会議は進みました。
また、責任の所在や範囲が不明瞭でしたので、チームリーダーとして名前を貸し てくれていた武藤の精神的負担も大きなものとなっていました。
そして、結果的に数名のスタッフがプロジェクトを離れることになりました。

しかし、いまだ暖かい家庭を見つけていない犬たちが6月21日現在、手術を受ける為に 獣医師の元に1頭、トレーナー宅に3頭の計4頭残っています。この子たちが幸せになるまで、 プロジェクトの解散はありえません。
様々な理由により活動を離れざるを得なかったスタッフたちの意思を引き継ぎ、 再度志を新たに活動を続ける決心を固めることになりました。
そして、新システムとして採用されることになったのが、ボードメンバー制度 です。

ボードメンバー制度は、プロジェクトスタッフ現24人の中で、プロジェクト 終結まで責任をもって遂行する意思を表明したボードメンバー9人によって 形成され、このメンバーを中心として運営していくシステムです。
ボードメンバーは、メーリングリストで提案・提議された議題にプロジェクト スタッフ全員で評決後、意見が割れた場合には、責任をもって決断をする役割 を担ったメンバーということになります。
今回、このような責任分担を行うことによって、武藤の負担はなくなります。

犬たちを守るために、犬たちを守ろうと立ち上がった仲間のために集まったスタ ッフです。今まで保護団体経験はもちろん、ボランティアらしいボランティアす らしたことのない普通の一般市民の私たちです。おそらく今後も至らぬことも多 いかと思います。
そんな我々ですが、あと4頭の子たちの笑顔を見るまでは、必死に頑張ります。 また、新たに犬たちのためにとスタッフ入りを決意くださった方々をメンバーに 迎え、心機一転、更なる活動に励んでおります。

また、この度、活動当初からの念願でもあった「英文サイト」のオープンを果た す事が出来ました。
このプロジェクトは、「人と犬が共にしあわせに暮らせる関係や社会とはどうい うものであるか、再考する機会を提供すること」を主旨のひとつとしています。 ご承知の通り、動物保護に関して、欧米諸国は長い歴史と非常に素晴らしい実績 を持っています。今回は、インターネットを利用することでそういった国々の保 護関係者にも情報を発信し、理解と協力を求めることは、この日本の現状を改善 するためにも 大変意味のあることだと考えます。
そしてありがたいことに、もう既に、海外からの問い合わせも届いています。 犬を深く愛し、彼等のために何とか役立ちたいという思いに、まさに国境はなか った事を実感しています。残っている犬の中には、海を越えてしあわせを掴むこ ともあるかもしれません。

そこで、今後、海外からも支援を受け易い環境を整える必要を感じ、遅ればせな がら銀行口座を公開することに致しました。今までの郵便口座と合わせて、ご支 援の程どうぞよろしくお願い申し上げます。

この山梨の元イベント犬多頭放棄保護を通して、犬との暮らし方、接し方、理解 の仕方を再考していただけるように、まだまだスタッフ一丸となって邁進いたし ます。それには、皆様の応援だけが支えです。今後ともどうか暖かいご支援を賜 りますよう、心からお願い申し上げます。

  • 2001年7月19日 武藤 雅子よりボードメンバーの辞意表明が届きました。
    本人の意思を尊重し、同日をもって正式に受理することになりました。