【経緯】
ムートは数日前に黄疸が出た為、精密検査を受けました。
その結果、エコー検査により胆石が出来ていたことがわかりました。
胆石により胆管を詰まらせた結果、黄疸になっていました。
そのままだと、命にかかわる状況であったため、7月5日午後、緊急手術に踏み切りました。
手術は、鳥取大学獣医学部の執刀教授を中心として、ムートの為に、特別プロジェクトチームを結成して下さり、全力をあげて執刀、及び治療にあたって頂きました。胆石の周囲を巻いている肉を丁寧に除去しなければならないなど、難しい手術で、当初
の予測より、手術時間も長引きましたが、同日19:30、4時間半にわたったムートの手術は無事終わりました。
以下に医師の診断を記載します。
【病名】胆泥症 |
|
ムートには胆嚢がありませんでした。
それにより胆汁が腹腔内に流れ出し、胆汁で腹腔内がドロドロになっていたそうです。
ムートの胆管は、沢山の胆汁を流すために10倍以上に膨れ上がり、胆汁は腹腔内に充満している状態でした。
|
【処置】 |
|
腹腔内を洗い流しました。それにより急激に黄疸の症状が引き、胆汁を流すバイパスを設置し、今後、腸内で胆汁を処理できるようになりました。胆石もとることが出来ました。 |
【原因】 |
- 遺伝的に胆嚢がない(?)
胆汁が充分に分泌されている状態から遺伝的とは考えにくい。
- 子犬、若しくは若い時代に腹腔を下からの外部圧力(蹴り上げられた、等)により、胆嚢が破裂してしまった。
|
2001年7月6日 13:30 |
|
大学病院の南教授より電話がありムート麻酔から完全に覚め、とても元気だとの事。 (AM 8:40)
|
2001年7月9日 21:00 13:30 |
|
同教授よりムートの病状についての報告。(18:30pm)
|
|
肝臓が他内臓器に癒着を起こしていた。
胆管は通常の10倍ほどの大きさであった。
胆管の閉塞により、肝機能障害が起き、深刻な黄疸の症状を呈していた。
胆嚢は無かった。
- 【処置】
十二指腸内は胆泥で一杯であり、カテーテルによる洗浄が必要であった。
胆管、十二指腸をカテーテルで洗浄することで、黄疸の症状が退いた。
バイパス設置により、胆管の機能を回復させた。
- 【原因】(推察)
- 先天性の無胆嚢
先天的なものである場合、通常、機能障害を起こすほどの胆汁分泌を起こすとは考えにくい。
先天性のものである場合、肝臓が他臓器に癒着を起こしていることの説明が難しい。
- 過去に腹部への圧迫による胆嚢破裂と、肝臓損傷に起因する機能障害腹部への強い外圧力がかかったことにより、破裂を起こした胆嚢が、肝臓を癒着させた。
腹部への強い外圧力により、胆嚢破裂、肝臓損傷を起こし、肝臓の癒着を起こした。
いずれにせよ、外部からの圧力による内臓機能障害と考えるのが、一番自然である
- 【今後】
バイパスが胆泥により閉塞を起こす可能性は否定できない。また、癒着を起こしている肝臓の機能がどこまで回復できるかの見込みは難しい。(ただし、まったく機能していない分けではなく、また、現在は順調に回復傾向にあることを付け加える)
| |
|
その後のムートは、心優しい里親さんの元で、細心のケアのもとに、幸せに暮らしています。 |