老三樹
現在の香川県から旧洞爺村に初めて開拓の鍬が下ろされたのは明治20年5月のことでした。その年も次の年も早霜のためほとんど収穫がなく、ここでは日々の生活すらできないからと離れることを考える開拓者が多くなってきました。そのことを心配した移住団主・三橋政之は、桑と桜と栓の木が同じ箇所から互いに根を抱き合って繁っている三樹の下に団員たちを集め、涙を流して説得したそうです。「三樹が抱き合って共に栄え繁っているように、我々もお互いに助け合って、この困難な時期を乗り越えていかなければならない」と。政之の説得に団員たちは心を動かされ、みな未来を信じて突き進むことを決意しました。これが、三樹にまつわる物語として語り継がれてきた三樹の誓いです。昭和8年の林学博士本多静六氏の鑑定によると、推定樹齢は桑が1300年、桜が600年、栓が200年です。昭和43年、北海道百年記念事業の一つとして北海道の名木に指定されました。残念ながら桜は昭和53年に腐朽・枯死のため倒木してしまいましたが、その後桜は植樹され、現在も住民のシンボル、老三樹記念保護樹木として大切に保存されています。
北海道虻田郡洞爺湖町洞爺町
(2) 札幌駅から道南バスで洞爺湖温泉行きに乗り、バス停「洞爺水の駅」で下車、徒歩3分