致道館
致道館は安政5年(1858)に、学問を修めるだけでなく、礼節、道徳を尊重する人間造りを主眼として、15代藩主木下俊程により創立された日出藩の藩校である。武士だけでなく広く一般の人にも入学を許可し、8歳以上の子弟は必ず入学させ、寮生、通学生合わせて250人が学んだ。致道館は、明治4年(1871)の廃藩になるまで続いた。藩校としての歴史はわずか13年間であったが、この後、暘谷女学校や日出町役場、杵築区裁日出出張所、帆足記念図書館(現 萬里図書館)と次々に新たな役割を与えられ、日出の重要な建物であり続けた。昭和26年に移築され現在に至っているが、現存する藩校は、大分県内では致道館だけである。
襟江亭
日本で唯一現存する殿様の風待ち茶屋。日出町の深江港には、その名の通り深くて大きな入り江があり、平安時代から天然の良港として栄えた。江戸時代には参勤交代の船がここから出航していたが、当時は帆船であるために航海に都合の良い風や潮を待って船出をしていた。寛文7年(1667)に日出藩の3代目藩主木下俊長が、風待ちや潮待ちのための宿泊休憩施設を深江港に建て「襟江亭(きんこうてい)」と名付けたとされる。風待ちや潮待ちのための御茶屋は全国各地にあったが、現存するのはここだけといわれている。