祇園
八坂神社の門前町として開かれたが、四条通の左右にかけて鴨川の東に広がる京の顔である。中央を南北に貫ぬくのが花見小路。四条通と交差する角に赤壁と犬矢来(竹矢来)に囲まれた「一力茶屋」が。他にも紅殼格子によしずを垂らした2階建ての京の町家が軒を連ねている。
祇園新橋地区
お茶屋から小料理屋や酒処に転向するところも多いが、元の町家をそのまま利用するなどしているところが多く、古い町並みは変わらずにその雰囲気をとどめている。京らしい風情を最もよく残した一角といえる。四条通の両側は、昔ながらの小物、櫛、かんざし、扇、足袋、傘などを扱う店が八坂石段下まで並んでいる。
三年坂
八坂塔の東から清水寺に至る石段道で、産寧坂ともいう。最も京都らしい雰囲気を持った古い町並みがつづく。
上賀茂地区
上賀茂神社の周辺は、古い歴史をもつ落着いた集落である。上賀茂神社の神官を代々つとめてきた社家の人々と農民とで作られた郷で、社家町の静かな佇いを見せている。社家の建築様式の特色は、棧瓦ぶきの切妻平屋建で、神社の鳥居より高くならないよう2階建が禁じられていたため“つし”という2階が低い造りになっている。
上賀茂社家町
かなりの範囲にわたって伝統的な様式を持つ社家の屋敷、農家や町家が点在し、また町並みを形成している。特に社家屋敷の連続する明神川沿い(藤の木通)の景観はすばらしい。町家など平入を常とする京都では珍しく妻入の形式のものが多い。
清水地区
室町時代の頃から八坂神社周辺に門前町が整って、今日では、最も京都らしい町並みが、八坂神社奥の円山公園から清水産寧坂あたりに見られる。円山公園を南に抜けると、西行庵や芭蕉堂の茅葺きの草庵や清水焼窯元の数寄屋風の店といった静かな寺町。二年坂から産寧坂にかけては、高塀と門・前栽を設けた和風邸宅様式が見られる。