乙和池
池の中央に日本最大の高原湿原性浮島をもち、あたりには200種類を超える植物が欝蒼と茂り、神秘的な雰囲気に包まれたところです。この池にはその名前の由来となった伝説が残されています。その伝説によると、山のふもとの長福寺へ、ある日美しい娘が泊めてほしいとやってきたところ、和尚は気の毒に思って、泊めてあげることにしました。どこから来たかは語りませんが、名は「おとわ」とだけ言いました。ある年の田植えの終わった頃、草の芽を採りに来たおとわが、過って女人禁制の山近くまで来てしまい、あわてて山を下る途中、そこの小さい池で下着のすそを洗っていると、その池の主に見染められてしまいます。すると、あっという間におとわの立っていたところを浮島の様に残して池は大きく広がっていき、池からは主の大蛇が現れ、おとわに自分の代わりにこの池の主になるためにここにとどまれと言います。泣く泣く頼んで、一旦は帰してもらうことができましたが、3日後、おとわを呼ぶ主の声が聞こえ、おとわはとうとう池の主になる決心をします。かごに乗って山へ向かう途中、ヒズメの音が遠くから聞こえてきたかと思うと、白馬にまたがった貴公子が現れ、おとわを前に乗せ、もやの中に消えていきました。これが池の主の大蛇で、その日から7日間、山は霧に包まれ、7日目には大雨となり天地は暗く閉ざされました。村の人たちは、この雨で池の主は天に昇り、おとわが代わって池の主にになったのだと言っています。今でも毎年7月23日の乙和の命日にはその霊を慰めるために「乙和池まつり」がおこなわれています。
加茂湖
加茂湖は明治36年、水害を防ぐため湖口を広げ、海とつながった汽水湖。周囲17km、面積4.9km2と大きさは県内一で、越の湖とも言われた。ウォーキングトレイルやサイクリングロードが整備され、春夏秋冬いずれの季節も風情ある景色が望め、古くから歌にも詠まれている。また、カキの養殖でも知られ、湖面に浮ぶカキ棚やカキ小屋の景色も絵になる。
上の平
馬首川の上流にある広大なシバ草原です。川は平坦なくぼ地を流れて、よどみ池をつくっています。60%は浮き島状の湿原です。周囲は、天然スギを交えたミズナラ等の雑木林、林下はハクサンシャクナゲ等が咲きます。昆虫はトンボ類が多く、新しい種類が少ないことから自然環境が保全されたきたことがわかります。湖は豊富な湧き水で保たれており、北小浦の湿原植物群落として県指定を受けています。
山居の池
大佐渡における貴重な落葉広葉樹林。大佐渡山脈の北端近くにあり、池の広さ1.7haです。斜面はミズナラの林が多く、県内的にも植物の種類が豊富で価値は高い所です。伝説:「おせんという美しい娘に、思いをよせた竜が、男姿に身を変えてお互いに好きになった。おせんは、竜とわかった後、一緒に池に入ってしまった。しかし、昇天できないおせんは、お坊さんから昇天してもらい、そのお礼に村の人々を守ると約束した。村の人たちは、水に困ると山居の池に集まって、雨ごいの百万べん念仏をするようになった」。周辺では山野草も楽しめます。
杉池
佐渡山地の久知から赤玉へ抜ける山道四十八箇所越えの峠(海抜440m)近くにあるこの池は、小佐渡山中唯一の湧水池で涸れることのない池として、昔から信仰の地とされています。この湧き水は地下を通って北側のひょうたん池に湧き出しています。この一帯の広葉樹林は県指定の天然記念物で、県民休養地としても整備されています。また、この池のある山は水の神・竜神を祀る山であり、かつては村人でも簡単に入山することができませんでした。その信仰を背景に、この池には竜神伝説が残されています。